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誰も生を営んでいないところには災害も防災もない。防災とは誰かが生きる社会のなかで、誰かの生活/生命を災害から守ることなのだから。しかしその「誰か」とは誰なのか? そして災害は他者あるいは敵なのか? 防災も災害も社会のありかた、生のありかたと大いに関係がある。ならば私たちが目指す「豊穣な社会」とは? 「豊穣な社会」と防災との関係は? 防災における大学の役割とは? 私たちは他のユニットとも「干渉」しながら、哲学的で歴史的な議論を繰り広げる。
告白すれば、無人地帯と化した石巻の港湾部を2011年5月に歩いてから、そして福島第一原子力発電所の爆発音を生の耳で聴いてしまった人の目に直面してから、私は論文が書けなくなってしまいました。こういうときこそ書かなくてはと頭では判っていたものの、論文を書くことの意味が蒸発し、何かが停止してしまったのです。以後約十年は、この虚無から再出発しようとする暗中模索の時間でした。防災の哲学研究ユニットでの活動は、私にとってはおそらく、幾多の災害や虚無を前にしても、停止をはさんでも、探求を大きく進めていった先人たちや同時代人の思考、表現、行動に取り憑き、何か意味あるものをつかみ出そうとするもがきなのかもしれません。
思想を表現し, 思考を開く実践
・榑沼範久「都市のスケールとリズムについて」(彦江智弘との対話), 「イスラーム都市から考える」(守田正志との対話), 吉原直樹 榑沼範久/都市空間研究編『都市は揺れている 五つの対話』東信堂, 2020.
・有馬優「大衆社会への反定立」(2020), 第18回尾崎行雄(咢堂)杯演説大会優良賞.
・有馬優「砂上の死生学論考」(2021), 第19回尾崎行雄(咢堂)杯演説大会優秀賞; 第66回文部科学大臣杯全国青年弁論大会優秀賞.
・有馬優「後世への最大遺物」(2022), 第20回尾崎行雄(咢堂)杯演説大会優良賞; 第67回文部科学大臣杯全国青年弁論大会最優秀賞.
・細田暁「憧れ」(2022), 全国土木弁論大会「有馬優杯」優秀賞.