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2024.02.08
2024年1月26日、横浜国立大学の豊穣な社会研究センターのつながり方研究所(以下、「つな研」)同僚である細田暁さん(センター長)、河野克典さん、三井実さん、そして「つな研」を支援してくださっている新田祟信さん(大慈山佛心寺副住職)とともに、福島大学の地域未来デザインセンターをはじめて訪問した。これからともに考え、話し合い、可能ならば、ともに何かを創るうえでの接点を探すためである。
福島大学地域未来デザインセンターHPによると、地域未来デザインセンターは「心を満たす幸福度の高い地域づくり」「未来に続くビジネスの創出」「年代を問わずチャレンジできる人づくり」「誰にも生きにくさを感じさせない社会」を大事にしている。豊穣の社会研究センターおよび「つな研」と共通するところもありそうだ。
福島大学の地域未来デザインセンターからは鈴木典夫さん(センター長、行政政策学類教授)、岩井英樹さん(副センター長、経済経営学類教授)、藤室玲治さん(復興創成担当、相双地域支援サテライト長、特任准教授)、江尻綾美さん(事業開発担当、特任准教授)、荻多加之さん(神経科学、センター研究員)の5人。会合は16:30から18:00の90分の予定だったが、5人+5人の自己紹介とそこから次々に派生する言葉の応答のやりとりは、気づいてみれば18:30をゆうに回っていた。
自己紹介といっても、それぞれがそれぞれに深い来歴のカケラを共有していく、そして同時に何か信頼がつくられていく、そのような時間だったと思う。そして言うまでもなく、福島には2011年の地震と津波と福島第一原子力発電所大事故に襲われたあとの福島だけがあるわけではない。とはいえ地域未来デザインセンターの皆さんの言葉にも、われわれの言葉にも、2011年以後の福島ゆえの、とても複雑な心のことも地域のことも随所に顔を出した。 この日に何か具体的なプロジェクトが決まったわけではない。しかし確かなことがある。われわれはまた地域未来デザインセンターに向かうことになるだろうし、地域未来デザインセンターの皆さんはわれわれをまた温かく迎えてくれるだろう。今回は福島の太平洋沿岸地域(浜通り)に行くことはできなかったが、地域未来デザインセンターの進めていることのひとつは浜通りにもある。私自身、浜通りに向かうときも来るに違いない。
榑沼範久
写真は福島大学に向かうまえに立ち寄った福島県立美術館と飯坂温泉の鯖湖湯。鯖湖湯は芭蕉も入った歴史ある湯。ところが湯に入ったはいいが、『おくのほそ道』によれば芭蕉は泊まった宿で散々な目にあったらしい。土間にムシロを敷いただけ。灯火はなく、夜に大雨が降ったら、雨もりがひどい。ノミや蚊に刺されて眠れもしない。持病がぶりかえし、気を失うほどだったと。それを堂々と紹介していることに驚いた。